koumura.net Masahiko Koumura official web site「日本の未来」への安心 ー「改革」に魂をー衆議院議員 高村正彦 こうむらまさひこ
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平成29年1月18日  NEW!

 イギリスのメイ首相が、EUの単一市場から離脱する。EUからの完全離脱を宣言している。強気な姿勢という風に書いていたところもあるが、強気というよりもEU側の良いとこ取りは許さないという強気な姿勢に阻まれて、やむを得ず国民投票の方向に従って、移民の流入を制限する。それには完全離脱以外ないとこういうことを選んだ。
 メイ首相が更にEUとの交渉結果について上下院の了承を得るということを言っているので、これから一本道で離脱に行くのかどうかということも含めて慎重に見極めていかなければいけない。

 それから今年の政治課題、安倍首相が言っているように経済最優先ということだが、まだ道半ばのアベノミクスを進めていくということだが、アベノミクスは間違いなく成功の道を歩んでいる。
 それは47都道府県すべて有効求人倍率が1を超えるということが定着してきたと、いわば完全雇用の状態が出来たと、これは大きな成果だ。完全雇用の状態が出来ると必ず賃金はアップする。それも正規よりも非正規がアップする。パート、アルバイトの時給がアップする。こういう傾向になるので格差は当然、縮まって行くと。現に縮まっているわけで、相対的貧困率、昨年後半にこれは5年に一回調査している。発表があったが、統計を取り始めてから初めて相対的貧困率が低下した。
 そしていわゆる子供の相対的貧困率というと、民主党政権時代に9.9という高い数字であった訳だが、7.9というはっきり意味のある低下を示しているということで、これはアベノミクスが間違いなく成功への道を歩んでいると言っていい。
 これからも自信を持って続けていきたい。海外要因というのは確かにあるが、海外要因に対しても世界の中で安定政権を持っている日本は、相対的にはそのリスク要因に対しても強いということが言える。

 外交についても原則、戦略はぶれることなく、そして現実を柔軟に見ていかなければいけない。まだ、不確定、不確実なことがトランプさんの大統領就任以降の政策がどうなるかということについても、或いはヨーロッパの状況についても、或いは中国の状況、或いは北朝鮮の状況、不確実、不透明なことが多いが、そういうことは慎重に、あまり決めつけないで現実をしっかり見て行かないといけない。
 あのBREXITにしても多くの有識者が世界中の有識者がそんなことが起こるはずがないと言ったが、当時の世論調査を見るとほぼ拮抗していた。
それもお年寄りが離脱を希望し、若い人が残留を希望していた。投票率がどっちが高いか等を考えれば、何で皆あんなに確定的に予測するんだろうと私は不思議でしょうがなかったんだけれども、自分がこうした方が良いだろうということに、有識者といわれる人たちは大抵とらわれ過ぎるということがある。
 さらに言えば、アメリカの大統領選挙についても1か月ぐらい前の状況だと大体5ポイントぐらい世論調査でクリントン候補の方がリードしていたと思うが、その時点で日本の外務省は、私がブリーフを受けた限りでは、全く分からない、隠れトランプがいるからということを言っていた。
 そういう予断を持たない姿勢だったから大統領選の結果判明後、すぐ電話会談が出来た。そして実際にも次期大統領トランプさんと安倍さんの会談が出来たと、そういうことに繋がっているし、これからもあまり予断を確実なものと思いこまないで現実をしっかり見て行くことが必要だ。

平成28年10月19

 自民党の憲法改正草案だが、私は前からこれは一つの叩き台に過ぎないと言ってきた。もっと正確に言うと衆参の憲法審査会に何を出すかということを自民党内で議論するにあたっての一つの叩き台に過ぎない。こういうことだ。そのまま全体を憲法審査会に出すなんていうのは元々あり得ない話だし、その中の一部を出すにしても現在の時点で十分吟味したうえで提出することになる。更に言えばこの憲法改正草案に全く触れられていないことでも、今の時点で大切なことは提案する可能性があるということだ。例えば私たちは参議院の合区については解消する必要があると思っているが、今の最高裁の判例に従えば、単なる法律改正では無理なのでやはり何らかの憲法改正が必要になって来る。
 できるだけ早急に党としてプロジェクトチームを作ってそういうことを検討したいと思っているが、参議院執行部あるいは憲法改正推進本部あるいは党・政治制度改革実行本部あるいは選挙制度改革問題統括本部、そういったところでどういうプロジェクトチームを作るかについてすぐに検討に入りたい。

 

 

平成28年10月12

 補正予算が成立したことは良かった。執行をしっかりして、経済を上向きにしなければいけない。TPPだが14日には審議入りをして頂きたい。それぞれ、言い分はあるだろうが言い分は国民の前でしっかりと議論することが必要であって、従来型の日程闘争はそろそろやめた方が良いのではないか。TPPを早く成立させる事によって、アメリカ側の一部にある「再交渉してアメリカにより有利にしよう」ということは無いんだよということをはっきりさせることが大切で、そのために批准を早くすることが大切だ。

 衆議院の補欠選挙、2か所で始まったが東京10区について言えば、都知事選の勝ち組、負け組で出発点では多少のギクシャクはあるにしても勝ち抜く中で両方が完全に一つになるということを期待している。福岡6区については自民党系、2人の候補、それぞれ切磋琢磨して正々堂々戦って1、2位を占めて頂きたい。自民党としては勝った方を追加公認する予定だ。

 衆議院の解散時期については、これは神のみぞ知る。安倍総理自身にしても今の段階で確定的な事は分らない。確かなことは解散風が吹き始めているということだ。常在戦場という心構えを越えて何らかの準備は始めるのが良い。若い方たちに対するアドバイスとしてはこの国会で政府与党が何をしようとしているのか、それが国民の為にどう役に立つのか、そのために自分はどういう貢献をしているのか、こういうことをそれぞれの選挙区の隅から隅まで廻って、しっかり伝えていくことが大切だ。御足は使うと無くなっちゃうけれど足は使うと丈夫になるから、今のところは足を使った運動をしておくのが良い。

 

 

平成28年10月5

 参議院予算委員会の様子を見ていた。また蓮舫さんが例によって自民党憲法改正草案をやり玉に挙げて聞いていたが、予算委員会の審議というのは国政全般について政府の統一見解を質疑する。だからこそ聞く方が「私質問する人、あなた答える人、反論は答えるための必要最小限度ですよ」と、そういうようなことが成り立っている。
 内閣には憲法改正について何の権能も無い。従って政府の統一見解というものがそもそも存在しない。そういうことであるから予算委員会で行政府の長である総理に聞く、答弁を強要するというのはお門違いのことであって、憲法審査会において、国会の権能であるから憲法改正の発議はそれぞれの議員が対等の立場で議論すべきもの。
 内閣の人に対して「私聞く人、あなた答える人、答えなさい」とせまるのは、いくら国会が国権の最高機関であっても越権行為であり、自分たちがやるべきことをやらなければいけない。
 私は先週、蓮舫さんの批判から提案へというのを評価した上で提案は実現可能な提案であってほしいと注文も付けたわけだが、批判だけで提案なしという典型例は、自民党憲法草案を撤回しない限り憲法審査会で改正の審議に応じない。
 これはまさに批判だけであって、政党としてどう考えるか主体的な提案が無い。批判100%、提案0%、早くこういう姿勢をはっきり変えたということを態度で示してもらいたい。

 補正予算を通していただくと早期に執行に移らないといけないわけだが、国会においてはやはりTPPの批准、これはアジア、太平洋の活力を国内の産業に取り込む極めて重要なものであって、そして農業においても加盟国中、最大の関税を維持することに成功しているわけであるから、何事も百点満点というのは外交交渉において無いわけだが、極めて攻める点は良く攻め、守る点は良く守ったと言える交渉であった。
 全体を考えて批准をして、アメリカをはじめ、交渉参加国をリードする。そういう姿勢が必要だ。そして早く批准することが、アメリカの中の一部にある、再交渉してもっとアメリカに有利にすることが可能ではないかという幻想を打ち砕くためにも資するものだ。
 その上でパリ条約についても早く国会に提出した上で、国会であらゆる知恵を出して、例えば参議院先議にするとか色々なことが考えられるが、これを国際社会に遅れないで批准することが必要だ。
 京都議定書において、アメリカが京都会議の最終段階において、まとめることに大変な指導力を発揮しながら批准をしなかったとこういうことが、アメリカの威信というか信頼性を国際場裡において随分傷つけたということもあるし、日本はパリ条約を国際社会に遅れないで今国会中に批准することが大切である。

 

 

平成28年9月28

 今日、蓮舫さんが参議院で代表質問に立つ。批判から提案へというのは大変良いことだ。ただ、民主党が政権を取る前も批判だけしていたのではなくて提案もしていた。
 その提案は実現可能な望ましい提案をしなければいけないのに、実現可能というのがまったく抜けていたから政権を取ってから次の選挙で国民の大部分から鉄槌をくらってしまった。提案型になるというのは非常に良いが、実現可能なということに重きを置いた提案をして頂きたい。
 実現可能だとそれほど国民受けしないかもしれないが、粘り強く実現可能な望ましい提案をしていると、いつか必ずや二大政党の一角に民進党がなることが来るのではないかと、蓮舫さんのご健闘を期待している。

 

 

平成28年4月6

アジア調査会講演会

 平和安全法制について


 司会 これから高村正彦・自由民主党副総裁に『平和安全法制について』という題で講演していただきます。高村副総裁の略歴はお手元に配布してあります。先生には1999年9月、外務大臣時代に講演していただいています。先生は平和安全法制について与党連絡協議会の座長などで大きな影響をおよぼされた方で、法制は29日に施行されました。そのことも含め、平和安全法制の議論の背景等についてお話を伺いたいと思います。


 ◎平和安全法制は「抑止力が必要か必要ではないか」の議論

 高村正彦・自由民主党副総裁 皆さんこんにちは。ここで講演しろと最初に言われたのは昨年だったと思います。「講演してもいいけれども私が講演するとしたら平和安全法制ですよ」と言いました。それでも結構ですから講演してくださいと言われました。「それでも良いからとは何だ」と思ったのですが、毎日新聞の社論とは違うし、記者の方もそう認識していたのだろうと思います。

 北村(正任アジア調査会長)さんと横綱審議委員会で一緒です。北村さんの方が先輩なのですが、その時にその話をしましたら「毎日新聞は賛成論も反対論も書いた上で、毎日新聞としてはこう考えると、ちゃんとやっている」と言っていました。「それは北村さんが社長のころの話ではないですか」と言ったのですが、私を呼んでくださったのは大変ありがたいことだと思っています。

 平和安全法制の議論は、煎じ詰めて言えば、抑止力が必要なのか必要でないのか。抑止力は有益なのか有害なのか。こういう議論だと思います。これは55年体制の時にずっとやっていた議論だと思います。日本人は酷い戦争を経験していて、直接経験していない人も(戦争の)話をみんな聞いているわけですから、平和を愛好しない人は誰もいないと思います。平和を愛好する人を平和主義者と仮に定義するとすれば、日本人はみんなで平和主義者だと思います。70年間、日本は平和を守ってきた。これは誇っていいことだと思いますが、これは平和外交努力と自衛隊、日米安全保障条約という抑止力を持ってきたからこそ、平和を守ってこられたのだというのが私たちの考え方です。世界の常識に合致していると思うのですが、必ずしも日本の常識にはなっていなくて、「抑止力なんてあるから戦争になるのだ」という方たちもまだいるのだな、ということを平和安全法制の議論の中で実感いたしました。


 ◎戦後最大の憲法解釈の変更は自衛隊創設 

 高村 なぜ日本で抑止力が必要ないとか、あるいは抑止力があるから戦争になるのだという議論があるのかと言えば、それは簡単な話で、憲法9条第2項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と書いてあるからです。抑止力は持たない、と書いてあるわけです。平和安全法制の時に「戦後最大の憲法解釈の大転換」だと言われましたけれども、戦後最大の憲法解釈の大転換は、自衛隊を作った時にあったわけです。

 憲法を作る時のいわゆる制憲議会で吉田茂首相は、憲法は自衛権については何も書いてないけど、「『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』と書いてあるのですから、結果として自衛の戦争もできないことになります」と答弁しています。その時、共産党の野坂参三さんが、いくら何でも自衛の戦争ができないなんておかしいじゃないか、と言いました。有名な吉田・野坂論争です。しかし警察予備隊、保安隊ときて1954年に自衛隊を作った時、真正面から自衛権の行使を認めたわけです。憲法を作った時の吉田さんの解釈からすれば大転換で、私は今度の憲法解釈の変更はそれに対して微々たるものだと言えるのではないかと思っています。1954年に自衛隊を作った時に、憲法学者のほとんどが違憲だと言いました。

 しかし、いくら何でもよその国が攻めてきた時、座して死を待つのはおかしいじゃないか。何の備えもなければ、よその国の侵略を誘発するようなものもじゃないか。そういう大きな常識を基に自衛隊を作りました。それが1954年です。翌1955年に右派社会党と左派社会党が一緒になり日本社会党を作りました。自衛隊は憲法違反だという勢力です。それに呼応して保守陣営も自由党と日本民主党が一緒になり自由民主党を作った。それからいわゆる55年体制が始まるわけです。


 ◎55年体制は抑止力をめぐる対決

 高村 55年体制は、社会主義と資本主義の対決だと言う人もいるけれども、それよりも「抑止力が必要か必要でないか」という対決だったと思います。具体的に言うと、自衛隊は是か非か、日米安全保障条約は是か非か。55年体制はまさにそうであった。経済論争はせいぜい成長重視か分配重視か、という程度で、分配重視を自民党はうまく取り入れる。日本社会党の主張から取り入れて、成長と分配をうまくやってきたわけです。一方で自衛隊は是か非か、あるいは日米安全保障条約が是か非か、これは正面からの対決でした。

 60年安保、70年安保と大騒動があったわけですが、だいたいその頃までは、日米安全保障条約は日本国民側から異議が出た。日本の一方の人たちがいろいろと異議を申し立てていた。80年代の終わり頃から安保ただ乗り論がアメリカ国民から出てきたわけです。日本は日米安保にただ乗りして、軍備にお金を使わないで経済に力を集中し、その結果、家電、自動車を洪水のようにアメリカに輸出してくる。今やアメリカの脅威はソ連の軍事力ではなく日本の経済力だ。これは80年代の終わり頃、盛んでした。私は防衛政務次官としてそのころアメリカに行ったのですが、ワシントンでは盛んにそういう議論を聞かされました。その後、各地の軍事基地を視察して回ったのですが、あるところで、中佐か大佐くらいの人だったと思いますが、私を案内してくれた軍人に「ワシントンで安保ただ乗り論が言われているけど、どう思う」と聞いたのです。そしたらその軍人は「ワシントンのやつらは何もわかっていない。自分は沖縄にいたからよくわかるけど、独立国の中に外国の軍隊を置くことがどんなに大変か、何も分かっていない」と言っていました。私はその時、アメリカの軍人は健全だと思いました。

 一方で、アメリカが日米安保ただ乗りばかり言って、日本人は基地反対、ヤンキー・ゴー・ホームばかり言っていたら、日米同盟はいつか持たなくなると思い、アメリカに対してはその言葉は使わせてもらったけれども、日本人に対してはなるべくその言葉は使わないようにして、日米安保がどれだけ大切なのか、アメリカの負担もどれだけ大変なのかをよく話させていただくようにしていたわけです。


 ◎湾岸戦争のトラウマ

 高村 そうこうするうちに湾岸戦争(1990年8月)が起こりました。イラクがクウェートに侵攻して、あっという間にクウェート全土を席巻しました。このままではクウェートという国がなくなってしまう。現実にはなくなっていた。未来永劫なくなってしまうという状況になって、国際社会が一致して国連安保理決議のもとで有志連合を作りサダム・フセインと戦うことになりました。日本も何かしなければいけないだろう、ということで、当時、国連平和協力法という法案を作って提出しました。多国籍軍の後方支援をする法律です。それと外務省がもともと温めていたPKO(国連平和維持活動)的なものと両方入った法律でした。当面の必要性からすれば、後方支援だったのですが、残念ながら国民の理解が得られなくて審議未了、廃案になりました。

 その時に、アメリカで安保ただ乗り論がこれだけある中で、後方支援もできないなら、せめてお金で協力しようではないかということで、小沢一郎さんが当時、主導的役割を果たしたのだと思いますが、新たな税金を作って1兆円以上のお金を集め多国籍軍側に拠出したわけです。(戦争が)終わった後、クウェートが自らの国土を回復してワシントンポストのほか、世界中の新聞に感謝広告を出しました。広告には有志連合に入った各国の旗が載っていたのですが、残念ながら日の丸が載っていなかった。1兆円以上のお金を拠出しておきながら何ら感謝されないのか、というのが湾岸戦争のトラウマと言われるものです。私は、お金を出せば現実として役に立つのだから評価されてしかるべきだと思いますが、現実に評価されなかったことに日本国民の中でかなり「評価されるようなこともしなければならない、お金だけではだめだな」と思う人がいたことは当たり前のことだったと思います。

 そしてPKOをやろうということになりました。PKOは三国会かかったのです。今度の平和安全法制をやる時も「PKOですら三国会かけたのだから、そのくらいかけてやるのが当然だ。一国会で通そうなどというのはおかしい」という議論がありました。私は全くそう思わなかった。今度の平和安全法制は一国会ですけれども、三国会合わせたよりも長い時間審議をしています。(PKOは)三国会かけて議論が収束したかというと、収束しませんでした。国論はますます分裂したのです。最後の採決の時、牛歩で4泊5日です。当時、PKOについても賛成と反対の新聞がありました。賛成も反対も含め、すべての新聞が社説で「異常な国会だった」と言っていました。長くかかれば議論が収束するというものではないのです。4泊5日でやらなければならないように分裂することも現実にあった。その間、三国会の間、国政の最大のテーマですからほかのことはできない。ですから一国会でしたが、集中的に三国会以上の長い審議をして通して、そのうえで終わったら次は経済というのは全く正しい選択だったと思います。

 PKOの時も、どこかの新聞が憲法学者にアンケートしました。憲法学者の8割が違憲と言いました。PKOの時も今回と同じように、PKOなんかやったら徴兵制になるという運動が国会の内外で盛んに行われました。PKO をやって徴兵制になりましたか?なりませんよね。だからPKOを支持する国民が、圧倒的に多くなっているわけです。


 ◎周辺事態安全確保法の「周辺」は地理的概念ではない

 高村 PKOが通った(1992年6月)後、1999年に周辺事態安全確保法が成立しました。日米安全保障条約上の日本の義務は、アメリカに基地を提供するだけ。アメリカは安全保障条約上、いざという時に日本を守るこういうことですが、それだけで果たして日米安全保障条約はきちんと機能するのか。やはり日本の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が起こった場合、アメリカがそれと関係あることについて動いている時には、アメリカの艦船に対して後方支援くらいしなくてはいけないでしょう、というのが周辺事態法です。周辺事態法も、私は当時から周辺などという余計な言葉をなぜ入れたのだと言っていましたけれども、周辺とは地理的概念ではなく、日本の平和と安全に重要な影響を与えるか与えないか、そういう観点から判断する。外務大臣であった私は地理的概念ではないと百遍も答弁しました。ただ小渕総理がその時、インド洋とかペルシャ湾などは現実的に想定されない。「想定されない」とはどういう意味かと言う、そういうことは起こらないでしょう、ということを言っている。では想定されないと言って起こったらどうするのか。法律的には、そういう場合も適用されうる。適用され得るけれども、現実問題として総理がそこまで言っているのに、周辺事態法の発動を簡単にできるかと言ったらなかなか難しい。そういう政治的なことはありました。

 ですから、「周辺」は地理的概念ではないのです。地球の裏側のチリで地震が起こった。遠いから何の防御もしなくてよいか、逃げなくてよいか。チリで地震が起こると津波が来ることがあります。遠くで起こったか、近くで起こったかということではなくて、日本の平和と安全に重要な影響を与えるかどうか。それが重要なのです。地震で言えば日本の震度とか、日本にどのくらいの津波が来るのかが大事で、遠いか近かではありません。安全保障の話でも遠いか近いかではありません。日本の平和と安全に重要な影響を与えるか否かです。

 平和安全法制の審議が始まる前だったと思うのですが、NHKでこの話をした時に、私は周辺などという言葉は本来、あの法律に入れるべきではなかったという話をしました。私は今度の法律の中から「周辺という言葉を外せ」などということは、外務省にも防衛省にも一度も指示したことはありませんが、勝手に外して持ってきたのだから、私が言ったことも意外と聞いてくれているのだなと思ったことがあります。周辺ということは、地理的概念ではなく、周辺事態というのは日本の平和と安全にどのくらい重要な影響を与えるかで決める。これはごく当たり前のことだと思います。

 自衛隊、日米安全保障条約にしても、あるいは周辺事態安全確保法にしても、いずれも抑止力です。もちろん対応力を高めると同時に侵略を未然に防ぐ抑止力でもあります。抑止力というのは、まさに伝家の宝刀みたいなものですから、抜かないで侵略を未然に防いでくれれば一番いいわけです。現実には、自衛隊によって個別的自衛権は一度も発動されたことはありません。日米安全保障条約第5条によってアメリカが日本を守ってくれるという事態も一度もありませんでした。周辺事態が宣言されたことも一度もないのです。これが抑止力なのです。もちろん、いざとなった時にきっちり対応できるようにしているからこそ抑止力になるわけです。一度も発動されたことがない。これは伝家の宝刀で、なるべく使わないで済めばこんなにいいことはない。今度の平和安全法制、いわゆる集団的自衛権の限定的容認といわれる部分も20年、30年、一度も使わないで済めばそれに越したことはない。こういう考えでやっています。かなりきな臭くなっていますから手をこまねいていると個別的自衛権くらい発動せざるを得なくなる事態が起きるかもしれません。しかし平和安全法制を作ったことで個別的自衛権を発動する確率を確実に減らしていると思います。


 ◎砂川判決は「国連憲章は加盟各国に個別的・集団的自衛権を与えた」と言っている

 高村 最初、自衛隊を作ったときには、常識論ですね。いくらなんでも座して死を待つわけにはいかないだろう。あるいは何も防備しなければ、いくらでもよその国が侵略する誘惑に駆られるだろうという常識論で作ったわけですが、それを理論付けてくれたのは、昭和34年の砂川判決です。私は高校が立川です。町長の息子だったか甥っ子にも私の友達がいました。砂川町です。特別良く知っているのですが、直接的には日米安全保障条約の合憲性が争われた判決です。

 憲法9条2項にもかかわらず憲法前文には平和的生存権が規定されている。それを合わせ読めば、日本の平和と安全を維持し、国の存立を全うするための必要な自衛の措置を取り得ることは、国家固有の権能として当然である。平和的生存権を合わせ読めば憲法9条2項をその言葉通り読んではならない。あるいは読む必要はない。こういうことを言っているのが砂川判決です。そしてさらに「一見明白に違憲無効でない限り」という言葉を使っていますが、高度の政治的問題は第一義的に国会と内閣に委ねるべきである、と言っています。そしてもう一つ、ほとんどの人たちが見落としていたことがあります。国連憲章は加盟各国に個別的、集団的自衛権を与えた。15人一致の大法廷判決の理由の中にそういう言葉が明確に書かれています。

 わたしが砂川判決を最初に持ち出した時に、憲法学者、政治家、いろんな人を含めて一番多い反論は、ここで言っている自衛の措置に集団的自衛権は含まれていない、あの頃の裁判官の頭には集団的自衛権などというものはなかった、ということでした。当時の新聞見てください。そういうことを言っている人が沢山いました。私は多勢に無勢で(議論を)受けるのが大変だった。だけど明確に15人一致の大法廷判決の理由の部分に、国連憲章は加盟各国に個別的・集団自衛権を与えた、と書いてある。

 私がそのことを言ってから、砂川判決について「あれは個別的自衛権を言ったのであって集団的自衛権は頭の中になかった」と言う人は少なくなりましたが、その時の論争を知らない人が時々、砂川判決を読んでいないまま同じことを時々、今でも言います。ここはしっかり整理しておきたいと思います。憲法学者の中で、「『国の存立を全うするための必要な自衛の措置をとりうる』というのは、あの判決の中の傍論であって、理由は、統治行為論だった。高度の政治的問題は国会と内閣に委ねたのだから、そこだけが理由で、ここは傍論だ」と言う人がいました。

 私、プライムニュースというBSフジの番組で阪田雅裕・元内閣法制局長官と一緒に出てくれと言われました。阪田さんは、集団的自衛権は違憲だと言っていた人だと聞いていました。法律の専門家と討論するので構えて出たわけですが、そしたら案外あっさりと高村さんの理屈はよく分かると言われました。だけど、私たちは安全保障については素人ですから、私たちにも本当に必要な自衛の措置であることが分かるようにもっと説明してください、と言っていました。番組の最後だからそこで説明する時間はありませんでした。私はずいぶん説明しているつもりですが、そう言っていました。きっちりモニターが出ていましたので、「国の存立を全うするための必要な自衛の措置を取ることは国家固有の権能として当然である」というところを指し「これは傍論ではありませんよね」と言うと、「傍論ではありません」と阪田さんもはっきりと言っていました。

 傍論ではないのです。判決の書き方から言って、はっきり形式的にも理由のところに書いてありますし、実質的にもそれは傍論ではあり得ないのです。なぜならば一から全て国会と内閣に委ねると言っているのではなく、「一見明白に違憲・無効でない限り、国会と内閣に委ねる」と言っている。だから憲法9条2項をそのまま持ってきて、一見明白に違憲・無効であると言わないように、憲法9条2項の規定にもかかわらず云々、と言っているのです。だから形式的な書き方から言っても実質的な意味から言っても、傍論ではなくて立派な理由ということになります。


 ◎平和安全法制は、昭和47年政府見解の法理部分を維持
  現在の安全保障環境を当てはめた

 高村 昭和47年の政府見解では、結論部分に個別的自衛権はいいけれど、集団的自衛権は駄目だと書いてあります。だから集団的自衛権も一部いいよというのは憲法解釈の変更です、という話になります。全体を憲法解釈だと言ってきたから、それは憲法解釈の変更であるということはその通りです。その政府見解というのは、砂川判決が明らかにした一般法理「国の存立を全うするための自衛の措置を取りうることは国家固有の権能として当然である」ということを、そのまま引いているのです。文言としては、砂川判決に書いてないことも書いてあります。国民の生命、自由、幸福追求の権利を根底から覆す場合でなければ駄目だ。それは砂川判決には文言としては書いていない。

 だけど砂川判決の法理の、ある意味で当然の帰結なのです。「国の存立を全うするため」。なぜその場合は憲法9条2項の文言にもかかわらずそれが許されるかというと、憲法前文の平和的生存権、国民の平和的生存権です。国民の平和的生存権のため、それを持ってきて憲法9条2項の文言をそのまま読んではいけない、そのまま読む必要はないということを言っているわけです。平和的生存権は憲法の条文でいうと、13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を根底から覆すような場合ならば自衛の措置を取りうる。だから砂川判決に書いていない文言を付け加えているのですが、それは平和的生存権という理由から言っているのですから、国から見た場合に「国の存立の全う」だけれど国民側から見ると、「国民の生命、自由、幸福追求の権利を根底から覆す場合」と言っているので、その第一の部分は砂川判決文そのまま、文言もそのままです。そして第二の部分は国側からではなく、国民側、生存権ということですから、生命、自由、幸福追求の権利を根底から覆す、そういうふうに昭和47年の政府見解は出来ているのです。それはまさに法理の部分ですね。

 今度の平和安全法制についても、法理の部分は、そのまま維持します。当時の安全保障環境で言えば、個別的自衛権があれば集団的自衛権は必要なかったでしょう。だけれども、今の安全保障環境から言えば、集団的自衛権を一部は限定的に必要になってくる場合がありますね、ということ言ったのです。ですから法理の部分はそのまま維持して、当てはめの部分を今の安全保障環境に合うように変えたのです。今の安全保障環境に合うようにした。この法理の当てはめということを言い出したのは、もしかしたら私が初めてかもしれませんが、一般的に「法理」と「当てはめ」は使われるのです。この問題について「法理」と「当てはめ」という言葉を使ったのは私が最初かもしれません。集団的自衛権の限定的容認論というのは、いくつかのマスコミが高村理論と書いたけれども、こんなのは高村理論でも何でもないのです。最高裁大法廷の15人一致の理論を今の安全保障環境に当てはめただけ。従前の政府見解を法理と当てはめを分解して法理の部分を現在の安全保障環境に当てはめるという言い方をしたのが強いていえば理論かなと。どういう意味で高村理論と言っているのか分からないけれど。ある新聞は砂川判決を持ち出したのが高村理論だと言っているようでもあり、よく分かりませんけれども。高村理論ということは私から言ったことではなく、いくつかの新聞が使っていました。


 ◎変わる安全保障環境

 高村 それでは安全保障環境はどう変わったのか。昭和47年の政府見解ができたときは、北朝鮮は1発のミサイルも持っていませんでした。ましてや核は持っていませんでした。今、北朝鮮が核の小型化に成功しているかどうかわかりませんけれども、可能性はゼロでありません。ノドンというミサイルは、300基以上ある。北海道の一部から沖縄まで射程距離に収めている。日本のミサイル防衛の技術はかなり進んでいます。実験すると、用意、撃つぞ、ドン。ほぼ撃ち落とせるのです。いきなりどっかから来て撃ち落とせるかというと確率は小さくなることは容易に予想できるし、それを何十発も次から次へと撃たれた場合、私は実はどの程度撃ち落とせるのか知らないのですけれども、私は自信をもってみんな撃ち落とせるから安心だとは言えない。

 一番良いのはそういう対応力よりも、抑止力なのですね。もちろん対応力は大切です。抑止力とは、もし日本を攻撃したらアメリカから間違いなく叩き潰されると、北朝鮮の指導者に思ってもらわなければいけないことです。そんな撃たないように外交努力でやりなさいと言う人もいますが、私はたいていの政治家よりも平和外交努力をやってきたつもりだけれども、あの金正恩さんの所に行って「あなた、こうしなさいよ」と説得する自信はありません。それは北朝鮮との間での平和外交努力は必要です。大切ですけれども、それで絶対大丈夫だという自信はない。普段、平和外交努力をやったことのない人が、やはり平和外交努力が大切だから抑止力なんか考えない方がいいと言うので驚くのです。

 中国はこの27年間で軍事費は41倍になっています。私は、中国は脅威だと言ったことはありません。なぜないかというと、曲がりなりにも両首脳が戦略的互恵関係で同意している。抑止力は伝統的考え方に基づけば、相手の能力と侵略する意図がある場合に脅威という。曲がりなりにも両首脳が、戦略的互恵関係であると言っているのだから侵略的意図はないでしょう。領海に入ってくるのが侵略と言えるかどうか。少なくとも今、軍事力で尖閣を一気に取ってしまうという意図はないと思います。27年間で軍事力を41倍に伸ばしていることは客観的事実です。懸念はあります。しかし私は、中国に侵略意図はないと思っていますから、脅威だとは言わない。しかし戦略バランスは大切です。戦略バランスがあれば、能力がある人たちが変な意図を持たないで済むことはあるかもしれない。

 集団的自衛権も一部やる。どんなことをやるのか。例えば日本とアメリカがミサイル防衛で共同して守っていることについて、その一部に襲いかかられた時、アメリカの船に襲いかかられた時に日本が守るのは当たり前でしょう。それだけではなく、朝鮮半島で有事がある時、アメリカの軍艦が日米安全保障条約に基づいて日本近海を動いている場合、アメリカの軍艦にどっかの国が襲いかかった場合、日本が守らずアメリカの軍艦が大打撃を受けたら、アメリカは世論の国ですから、日米安全保障条約はもう終わりと考えていいのではないでしょうか。


 ◎警戒すべき米国の安保ただ乗り論

 高村 そんなことが起こらなくても(米大統領選の共和党予備選に出馬している)ドナルド・トランプさんみたいに、「アメリカが日本を守るのに日本はアメリカを守らない。こんな不公平なことがあるのか」と言って大喝采を受けている。安保ただ乗り論は今まであまり表に出てきていませんでした。なぜかというと日本経済の調子があまり良くないから出てこなかっただけです。表に出ていなくとも底流にはずっと安保ただ乗り論的思想がアメリカ国民の中にある。だからトランプさんがあのように言うと受けるのです。基地提供の費用だけではなくてアメリカの駐留経費を全部持たせろ。そうじゃなかったら引け。日本は勝手に核を持って北朝鮮に対抗すればいいじゃないかという議論でしょう?トランプさんが、どれだけ私たちが苦労して限定的要件のもとで米艦防護のようなことをできるようにしたのか、知ったうえで言っているのか、知らないで言っているのか。アメリカ本土まで守りに来なければ公平じゃないと言っているのかよくわからない。ともかくアメリカ世論の中にある安保ただ乗り論から凄くトランプさんの発言が受けていることは間違いない。

 そういう中にあって、平和安全法制で我が国の防衛に関わるところだけですが、米艦防護などができるようにしておいて本当によかったなと思います。だけどその中で、平和安全法制廃止法案が出ている。彼らは平和安全法制廃止法案と言わない。固有名詞は何と言うのですか。正確な名称は知りませんけれども、我々から言えばせっかく作った平和安全法制を廃止しろという法案を作っている。ほんの少し前に200時間かけて審議をして、与党2党だけではなく野党3党の同意も得て成立した法案です。国会構成が全く変わってない中で決して通るはずがない法案です。今度の国会は参議院選挙を控えているから、会期延長が難しい。審議している時間はないでしょう。審議していること自体が、せっかく強化された日米同盟に悪い影響を与えることは間違いない。それはトランプさんの発言が日米同盟に悪い影響を与えるのと同様に、日本を守っている、それも極めて限定された要件のもとで日本を守っているアメリカの軍艦を守る法律を廃止しろという法案を議論している。トランプさんはますます勢いづくでしょうね。私は、決して(廃止法案の審議は)やる必要はないし、国会で審議することは国益に反すると思います。

 念のために言っていますけれども、与党が出した法案でも野党が出した法案でも審議されずにそのまま終わってしまうことはしょっちゅうあることです。今国会でも10本ぐらいの法案が審議されないまま終わるでしょう。特に自民党国対はこれから時間がないので、自民党も出したい議員立法はたくさんあるのに、議員立法は出さないでくれ、どうせ審議できないのだからと言っている。そういう中で、決してお国のため、日米同盟堅持のために役に立つとは思えない法案を審議することは良いことではないと思っています。


 ◎荒唐無稽な徴兵制論

 高村 もう一つ言いますと、PKO法案の時に徴兵制の話があったと言いましたけれども、今度の平和安全法制の時も、これをやったら徴兵制になると言われました。社民党と共産党が言うなら理解できないことはないけれど、現実的平和主義者もいるはずの民主党の中から平和安全法制をやったら徴兵制になるぞというビラが50万枚もまかれた。驚きましたね。徴兵制になるわけはないのです。世界の趨勢は、20世紀の間は徴兵制があった国でも、どんどん志願制に変わっているのです。なぜかと言うと、かつてのような人海戦術からITを使ったプロでしかできない戦争をやる時代になっているのに、今から徴兵制というのは軍事的合理性が全くないからです。もっと言えば政治的合理性。そんなこと言ったらすぐに内閣はつぶれます。徴兵制をやると言ったら内閣はつぶれます。そんなことになるわけがない。

 民主党の中でもあのビラを配る時はマスコミ報道によればずいぶん反対があったと聞いています。私は、当時の民主党の執行部はもともと、現実的平和主義者だったと思っていました。それが緩いと思ったかどうか知らないけれど、反対を押し切って全国にビラをまいたのです。これはずいぶん効いているのです。誰だってお母さんは徴兵制と言われれば嫌ですよ。だけど、その時に(徴兵制の話を)刹那的に聞いても、こういうことをした党だ、仮に名前を変えても、こういう時にこういうことをした党だ、ということは、私はずっとついて回ると思います。残念なことです。私は本来、二大政党論者ですから。非常に残念なことだと思います。

 村山内閣で村山さんが自衛隊は合憲である、日米安保条約は堅持しますと言いました。これをひな壇の一角で感激して聞いた私が馬鹿だったということでしょうか。社民党だけでなく、私はあれで55年体制の無益な論争は終わったと思ったのです。少しは残るかもしれないけれども、主要なところで終わったと思ったのです。しかし、また55年体制が蒸し返しているような感じがいたしますね。

 もう一つ言いますと、55年体制といっても、ほとんどの憲法学者が違憲だと言っていた自衛隊について、自衛隊法廃止法案なんてあの社会党ですら出していないのです。今、民主党が出し、彼らは平和安全法制とは言わないけれど、我々言うところの平和安全法制廃止法案を出して、良い意味はなにもない。悪い意味がある。私は維新の人と修正協議をしたことがあります。その時、維新の人が「高村さんの理屈は理屈として、国民が今支持していないのだから、私たちの案ぐらいに限定した方がいいのではないか」と言いました。「国民が支持してないと言っても、荒唐無稽な徴兵制などということ言われているから、今刹那的に支持が得られていないだけだ」と言ったら、その時、維新の方が「私たちはそんなこと言っていません」と言った。その人は今度、民進党に入りましたからね。大阪維新でありません。民進党に入りましたから。あの時の徴兵制は間違いだったとはっきりと言ってもらったら、これから少しは良い世の中になるのではないかなと思っています。質問をいくつか受けろという話なので、この辺で終わりにします。


 司会 ありがとうございました。先生は時間がなく、こちらから質問者を指名したいと思います。ご了承ください。


 古賀攻・毎日新聞論説副委員長 大変興味深く拝聴いたしました。ありがとうございました。途中でトランプさんの話をされていましたが、その話も是非伺いしたいと思っていました。トランプさんは安保ただ乗り論のようなことを言っているのと同時に、彼は形を変えたモンロー主義者みたいなところがあります。従来の安保ただ乗り論とは脈絡が違って、東アジアにアメリカ国はコミットする必要はないのではないかというネガティブなこと言うかもしれない。そのような人が共和党の有力候補になっているということが日米関係に及ぼす影響をどのようにご覧になっているのでしょうか。特に平和安全法制においては、アメリカのコミットメントを所与のものとして、日本がもっと関与を強めれば地域の抑止力が高まるという想定のもとでやっていらしたと思うのですが、アメリカの関与が薄まれば日本はどうすべきなのか、ということも考えていらっしゃるのかどうか。この辺よろしくお願いいたします。

 高村 要するにアメリカの関与が薄まらないように我々は努力する。関与が薄まることに対する抑止力を発揮していかなければならない。ですから、平和安全法制があった場合とない場合と、平和安全法制を廃止した場合と、関与が薄まることのどっちの可能性が強いですか、という話です。外交は可能性のゲームですから、可能性を高めていく。安全保障は安全の可能性を高めるということです。だからアメリカはモンロー主義に基づいて引きたいという欲求と、そうじゃない欲求と両方ある。トランプさんがモンロー主義にだけ立っているわけではないと思うのは、駐留経費を全部払わせろとも言っているのです。完全なモンロー主義ではありません。ただ引いてしまえばいいというわけではありません。駐留経費を全部払うなどできるわけはありませんけれども、完全なモンロー主義というわけではなくて、モンロー主義と安保ただ乗り論はある意味、親類みたいなものです。それに対して我々はそうならないようにしなければいけない。それはアメリカの本当の利益にならない。アメリカの外交・安全保障のプロはほとんどそう思っています。ですからトランプさんが、今言っていることと、大統領になってからやることと必ずしもイコールではない。私は、よその国の大統領選挙で誰がいいとか誰が悪いとか言わないことにしています。言っているのも同然かもしれませんけれど(笑い)。仮にトランプさんがなったとしても、できるだけこの地域から引かないようにしたらいいなと思います。方法はいろいろ講じていかなければならないと思っています。


 前田浩智・毎日新聞編集編成局次長 今日はありがとうございました。一点、気になったのは、先程、廃止法案の話にも触れておられ、これを審議することは国益に反することにもなるのではないか、というお話がありました。去年9月の成立の時に、やはり国民は賛成と反対派に大きく分かれていたというのは間違いない事実だと思います。安倍さん自身もあの時、丁寧にこれから説明していきたいということ仰っていました。そういう意味では、その後初めての国政選挙が夏に迫っているわけですけれども、その丁寧な説明がやはりちょっと物足りないかなという気がしています。これから夏に向かって自民党・安倍政権として、どうやっていくのか、お考えがありましたらお聞かせください。

 高村 まず一つ言えることは、たぶんここ(講演会)でこういう話をすると、あまり評判が良くないだろうと覚悟して来ました。私も日本中の自民党県連を駆け回って説明していますし、500人が集まってくれれば自民党でなくても説明に行くことはやぶさかではありません。私だけでなくて、私より若い人たちはもっとやっています。県連だけではなくもっと小さな支部単位を飛び回っています。自衛隊や日米安全保障条約について圧倒的支持を得るまでには時間がかかったのです。だけども、今度の選挙までに何の説明もしないと、我々は選挙に負けてしまうのです。一生懸命、説明するに決まっています。選挙に負けたくないから。選挙で負けてしまえば国会構成が変わって新しく廃止法案が出されます。廃止に持っていくというのはお国のためにならないと思うけれど、一応、民主主義に基づけば意味のあることです。だけれども私たちは負けないように一生懸命、説明します。「平和安全法制が争点ですか」と言われれば争点に決まっているのです。しかし「主要な争点ですか」と言われると、経済が大きな争点になります。国民の関心事ですから。だから平和安全法制は主要な争点にはならないにしても争点になる。そういう意味では説明は一生懸命やって行くということです。ここで皆さんの顔を見て、なかなか冷静な人ばかりで、顔を見ていても賛成か反対かわかりませんけれど(笑い)、毎日新聞(の講演会)に来る以上、反対の人が多いと思って来ていますよ。来てから、必ずしもそうでもないかなと希望的観測を持っていますけれども。わたしは経済企画庁長官経験者だから、経済の話をやれと言われればできないこともないけれど、「私が行けば平和安全法制だよ」と言って平和安全法制について講演しています。もう通ってしまったからいいやと思っているのではないことだけはご理解をいただきたい。

 

 

平成28年1月20

 株価がかなり下がっているが、いろいろ理由はあるけれども、最大の原因は油価が下がってオイルマネーが日本の株式市場から引いていることだ。油価下落は日本経済全体から言えば、実体経済について言えば、大変良い影響を与える。
 日銀の物価目標の達成については悪い影響を与えるとか、各セクター別に言えば打撃を受けるところもあるけれども、実体経済全体からいえば、まさに天佑神助ともいうべき、すごく良い結果をもたらすわけであって、少し長い目で見れば、実体経済についてそんなに心配することはない。良い結果をもたらすわけであって、少し長い目で見れば、実体経済についてそんなに心配することはない。
 日本の実体経済に影響する中国の実体経済もなかなか厳しいようだが、これも油価下落は良い方向に働くわけで、中長期的に見れば、実体経済の良さは必ず株価にも反映される。もちろん株価が実体経済に影響する部分はあるけれども、実体経済が株価に反映される方が大きい。そういう意味で、あまりあたふたする必要はないのではないか。注意深く見ていく必要はあるけれども、直ちに株価対策云々というような話ではない。

 

 

平成28年1月6

 10日に出発して14日までロシアに行く。これは形の上では自由民主法曹団、自民党の弁護団がロシアに行くのに、名誉団長として一緒に来てほしいということだ。せっかくの機会なので、旧知のナルイシキン国家院議長、ラブロフ外相、その他の方々とお会いしたい。おそらくプーチン大統領あての総理の親書を持っていくことになる。もちろんお会いしたいという希望は述べているが、現時点ではまだ固まっていない。
 ナルイシキン国家院議長、ラブロフ外相とは二国間関係、まだ平和条約が締結されていないということであるから、二国間関係が進むように努力していきたい。同時に時間があれば、ラブロフ外相とは中東情勢、シリアあるいは、イランとサウジアラビアの関係について意見交換ができればよいと思っている。

 

 

平成27年11月4

 来週の火曜から約1週間サウジアラビアに行ってくる。日本武道館が派遣する武道代表団の団長として行く。現代武道9道、古武道2道、70名ちょっとになるが、一緒に行ってまいりたい。
 かつて新渡戸稲造博士が「日本人の精神的バックボーンは何ですか。欧米人のバックボーンはキリスト教文明です」と言われ、はたと答えに困ってそれから考えて、英文で「武士道」という本を書き下ろして世界的ベストセラーになり、日本語にも訳され、「武士道」という本は今でも本屋さんに置かれていると思う。
 日本武道館は武道を中学校の体育の必修にしようと長年努力して、それが成功し、今必修科目として中学生は習っているわけだが、それと同時に毎年外国に武道団を派遣して、世界の武道に対する関心に応えて武道の真髄をお見せしようとしている。
 私が団長を務めるのは4回目だが、昨年はロシアに行ってプーチン大統領に会い、ナルイシュキン国会議長とも会談してきた。今年も当然外交の専門家としてサウジアラビアの要人ともお会いしてきたい。王族のどなたかとお会いできるかと思うが、日本と違いサウジアラビアの王族は直接政治に携わっているので、日本・サウジアラビア関係はもちろんだが、それと同時にシリア情勢についてお話を聞いて私見を申し上げてきたい。
 シリアではアサド政権を存続させるべきかさせるべきでないかに国際世論が分かれている。大きな流れは存続させるべきでないという方が多いと思うが、それでも分かれているので、存続させるべきでないという湾岸諸国の盟主としてのサウジアラビアのお考え、イスラム国にどう対応すべきかということについては国際世論が一致しているが、そういう中でアサド政権に対する態度の違いを乗り越えて、イスラム国に対する対応の仕方をどう構築していくのかについての意見などを聞き、私の私見を申し上げてきたい。

 

 

平成27年10月14

 軽減税率の件だが、自公の共通公約の中で「17年度導入を目指す」とあるので、それを目指すべきは当然だし、そのためには年末につくられる税制大綱の中でしっかり方向性を明記しなければいけない。
 一方で、自公の実務者間で協議した中で、事業者に過度の負担を与えるのではないか、あるいは福祉財源を過度に浸食するのではないかといった懸念があったことも事実なので、自公で協議して、そういう懸念を払拭するために、柔軟にして大胆な知恵を出して、共通認識をもった上で方向性を出すことが望ましい。
 共通認識を持たないでエイヤッてできないこともないが、そうするとその後の制度設計の中でそういうことを克服するというと、かなり大変な作業になって17年度導入に間に合わなくなる恐れがある。そういうことを大いに危惧している。

 

 

平成27年8月31

 維新の中でいろいろな動きがあると思うし、維新執行部と民主党執行部との間でも動きがある。そういう動きが修正協議にどういう動きを及ぼすのか、しっかりとみていかないといけないが、与党の側が真摯に対応していくことは全く変わっていない。維新の対案の中で、害にならないと我々が思うところについてはできるだけ取り入れて、その結果、維新が全体として受け入れてくれるのであれば、修正ありうべしだと思っている。いろんな動きの中で、必ずしも楽観はしていないということだ。
 それから三党の方とは、民主的統制というのは極めて大切だが、国会の関与について、これも現実に害のない範囲でできるだけ取り入れて、何らかのかたちで話し合いができればいい。

 

 

平成27年7月22

 自公の参議院会長の間で、平和安全法制について、与党の質問の時間を増やす必要があるということで一致したということだが、良いことだ。衆議院においては、最初、野党9、与党1ということで決まった。何でそういうことに決まったかというと、審議入りを人質にとって横暴な野党の要求に屈したためか、与党が優しすぎて少数党に配慮した結果かはともかくとして、いずれにしても、野党1人当たり7時間、与党1人当たり30分という結果になったことは、国民に理解していただく上でも大変問題があった。
 具体的に言うと、与党の側が、今の安全保障環境に基づいて、何もしなければ国民全体に対してどういうリスクがあるのか、それをこの平和安全法制によって、どう防ぐことができるのか、紛争を未然に防止できるのか、そういったことをしっかり政府から、説明を引き出す必要があったにもかかわらず、それが十分にできなかった。
 一方で野党の方は、歯止めとか自衛隊員のリスクとか集中的に質問し、そして、あたかも朝鮮半島の独裁者が暴走するリスクよりも、民主的に選ばれた日本の内閣総理大臣が暴走するリスクの方が大きいのではないかという印象を国民に与えたと、こういうことだから、良識の府においては、議員数に応じた質問時間とまではいかないまでも、そこを基本にして質問時間数を決めてほしいというのが、私の願望だ。
 あくまで、参議院自体が決めることだが、私の願望だ。

 

 

平成27年7月13

 昨日の日曜討論で、水島朝穂・早稲田大学法学学術院教授が「田中長官の補足意見を高村さんなんかは大上段に振りかぶって、ここに最高裁の意見だと言っている。つまり、そういう最高裁がやった判断すら捻じ曲げて、あのいわゆる安倍内閣の閣議決定はできている。」と言ったが、私は、田中長官の補足意見を大上段に振りかぶったことも無ければ、引用したことすらない。ある人が、田中長官の補足意見を引用すればもっと直截に説明できるんじゃないんですかと言ってきたときに、私は、それは最高裁判決の本体ではないからとお引き取り願ったこともあるくらいだ。
 私達は憲法尊重擁護義務があるわけだから、百の学説よりも一つの最高裁判決と言っているが、いわゆる補足意見は最高裁判決そのものに入るよりも、むしろ百の学説に入るものだ。水島さんの学説よりは随分優れた学説だとは思うが、補足意見を最高裁判決として引用したことはない。本体部分の、国の存立を全うするために必要な自衛の措置は取りうるというところの、必要な自衛の措置を点検した結果、国際法上集団的自衛権と言わざるを得ないものがあるということを繰り返し言っているところであるので、論争というのは、政治家であろうと憲法学者であろうとその他誰であろうとフェアでやって欲しい。ウソを前提として、その人がいないところで一方的に言うことは止めてもらいたい。

 水島さんほど酷いものではないけれども、今日、山口二郎公述人(法政大学法学部教授)が「高村氏は、憲法学者は字面にこだわるが、学者の言う通りにして平和が守れるか」と述べた。その前に「憲法学者3人に反発して」とまで言っていたが、私は憲法学者3人に反発したことはない。
 山口さん自身、憲法学者が字面にこだわるのは当たり前だと言っているが、私はその当たり前のことを述べた上で、憲法審査会で正確に言うと、「憲法学者は、どうしても憲法9条の条文そのものにこだわることがあると思いますが、」この部分は当たり前。山口二郎さんが当たり前だと言って、私に反論したつもりになっていますが、当たり前だ。当たり前のことしか私は言わない。「先達は、憲法制定権者である日本国民が、侵略されて座して死を待つというようなことを自ら憲法に定めるはずは無いという大きな常識に基づいて、自衛隊を作ったのであります。憲法学者の言うとおりにしていたら、今も自衛隊はありません。日米安全保障条約もありません。そして、先達の大きな常識のお陰で、自衛隊や日米安全保障条約が抑止力として働いて、平和と安全を維持してきたのであります。」と述べている。
 「憲法学者の言うとおりにして平和が守れるか」などということは、ここを短絡してマスコミが書いたところはあるかも知れないが、私が言ったことは無い。少なくとも人を批判するときには、その言ったことにきっちり当たって言ってもらいたい。
 そして山口さんは「高村氏の発言は、政治権力は論理を捻じ曲げることもあるという含意を持っていると、私は解釈します。」これは解釈だから勝手かもしれないが、私も解釈させてもらうと、山口さんはとても世間的知恵に長けた人であるから、自衛隊違憲論とか日米安全保障条約違憲とか、今日の公述人の発言としては言ってなかったけれども、本当は自衛隊も日米安全保障条約も、政治家が論理を捻じ曲げたものであると思っている方だなと、私は解釈する。

 

 

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